「陰謀論」とはなにか


ある事件や出来事について、事実や一般に認められている説とは別に、策謀や謀略によるものであると解釈する考え方。 強大な権力を持つ人物あるいは組織が、一般市民に知られないように不正な行為や操作を行っている、といった推論・主張が多い。(goo辞書)

英語ではconspiracy theory(コンスピラシーセオリー)と呼ぶ。

「事件がある→陰謀があると思う」ではなく、「陰謀をたくらむ組織がある→この事件もそうだ」という思考が陰謀論


謎が多い事件が起きたとき、そこに何か陰謀が隠されているのではないか、と推測すること自体は間違いや妄想では必ずしもない。
こういう考え方自体が、現代タームでいうところの「陰謀論」なのではない。

陰謀論とは、まずなんらかの「悪の組織」「悪の権力」を想定しておいて、起きた事件にその組織や権力の陰謀を当てはめる思考のこと。
つまり、あらかじめ「誰が悪いか」が決まっているような思考経路のことである。

陰謀論はこういうふうに組み立てられる


陰謀論は、だいたいにおいてこういう思考経路で発想され語られる。

1)いまの世界は間違っている。
2)世界がこれほど間違っているのは、世界を動かすほどの巨大な「権力」があり、悪い方に導いているからに違いない。
3)この事件もあの出来事も、悲惨なことになったのは、「権力」のしわざに違いない。
4)「権力」がそれをなした意図は、権力の本当の姿に気づいている私だけが推理することができる。

全ての始まりにあるのは、「世界は間違っている」という大前提。この認識/感情があるからこそ陰謀論は生まれる。

陰謀論はいつも間違っているのか?


過去に陰謀論として語られたことが、真実を言い当てていたこともないわけではない。
 →満州事変は本当に関東軍の謀略だった。
このことが、「陰謀論」が人々の心から消えない理由のひとつになっている。
じっさいに、ある陰謀論が、九割は的外れでも、一割の部分は真実に近づいている、というようなことは十分にありうる。

ただし、大きな視点で見れば、陰謀論に傾いた意見は、ほぼ間違っている、と考えるべき。
なぜならば、陰謀論とは、「世界の解釈可能性」を極端に狭くとった、手抜きの意見だから。→詳しくは後述

陰謀論は、「データベース消費」の負の側面。


陰謀論ははるか昔からあったが、知っている人は知っているし、知らない人は知らないという、本質的にカルトな話題だった。
が、インターネットの普及とそれにともなう、人々の「データベース消費への移行」によって、 たくさんの人が陰謀論的な言説に、たやすく触れることができるようになってきた。
これによって影響される人も増え、「陰謀論とは何かを知る」ということは、どんな人であろうと必須の課題になってきている。

逆にいえば、長い間、都市伝説のように語られ地下に潜ってきたがゆえにはっきりと否定できなかった陰謀論が、表に出てきたがゆえに 否定するチャンスが生まれている、ともいえる。

世界三大陰謀論+1(1) ユダヤの陰謀


ユダヤ陰謀論は、あらゆる陰謀論の中でも最古の歴史と最大のスケールを持ち、じっさいに歴史を動かした「陰謀論の王様」。

ユダヤの事実


wikipedia_ユダヤ人


◆古代のユダヤ人は現在のイラクからイスラエルへと遊牧しつつ移動。紀元前1000年ごろにはイスラエル王国を作り、ソロモン王のもと栄えたとされる。
◆王国が崩壊したあとはその時々の大勢力に従属するようになり、最終的にはローマに取り込まれた。
◆ユダヤの迫害の原因は、ユダヤ人として生まれたのにもかかわらずイエス・キリストを迫害し死にいたらしめたことである、とされているが、それは表面上の理由にすぎない。
◆古い出自を持ち一時は王国として栄えたことから、独自の戒律をもつ宗教を作りユダヤ以外は人ではないという強烈な選民思想を持つようになった。 このことがユダヤ人が迫害されるようになった真の原因ではないかと思われる。

◆ユダヤ人は、紀元66年ごろ、従属していたローマ帝国にたいして反乱を起こすが鎮圧され、以降、民族として固まるのではなくバラバラになってヨーロッパ中に散らばってゆく(大離散=ディアスポラ、という)。

◆以来、国をもたない被差別対象として蔑まれながら、商業をなりわいとすることに活路を見出してゆく。

  →シェークスピア「ヴェニスの商人」に出てくる強欲な金貸しもユダヤ人。

◆二千年近く商売人としての経験を積んできたユダヤ人は、各地で資本家として成功するとともに、各地の社会で重きをなすようになった。

 →中でもアメリカの大財閥「ロスチャイルド」は、ユダヤ陰謀論の最大のターゲットのひとつ。

ユダヤの陰謀論


◆ユダヤ人は、いっけんバラバラに世界に散らばって暮らしているように思われるが、実は裏側でつねに連絡を取り合い、ひとつの意志のもと団結して動いている。

◆その意志とは、巨大な財力と人脈を利用し、世界を裏から思うがままに操ることである。

◆ユダヤ人はどこにでもおり、どこでも大きな力を隠し持っている。世界で起きている事変、戦争の多くがユダヤの意図によるもの。

シオン賢者の議定書



「シオンのプロトコル」とも呼ばれる。世界でもっとも有名な偽書のひとつ。「史上最悪の偽書」とも。
1903年、ロシアで出版された。ロシア秘密警察によって捏造された文書であることがほぼ明らかになっている。
中身は、「第一回シオニスト会議で行われた、ユダヤ長老二十四人の決議の議事録」ということになっているが、じっさいは十九世紀に書かれたさまざまな三文小説等をつなぎあわせたもの。
1921年には、イギリスの新聞社によって、完全な偽書であることが指摘されている。

~すべての形態の権力が動揺している現在、われわれの権力は、他のいかなる権力にもまして目に見えないであろう。いかなる狡猾な者もくつがえせない強さに到達する瞬間まで、われわれの権力は表面には現われないからである。われわれが目下用いざるをえない一時的な悪から、確固たる支配という善が顕現する。この善は、自由思想によって形無しにされた国民生活の仕組を平常の状態に修復するだろう。結果は手段を正当化する。しかしながら、われわれの計画においては、必要と有効なこと以上には、善とか道徳とかにはこだわらないことに留意しようではないか。~シオン賢者の議定書より~

この偽書は、革命直前のロシア皇帝サイドが、批判の対象を自分たちからユダヤにすりかえようとしたものだと言われている。
が、ロシア革命によって、意図を超えて世界にひろがってしまい、とくにドイツで大きな影響力を持った。
ヒトラーはこの本に大きな影響を受け、それがやがてユダヤ人虐殺(ホロコースト)へとつながってゆく。
陰謀論が、じっさいに膨大な数の人間を殺した例といえる。

ユダヤ陰謀論の裏にあるもの


◆キリスト教とユダヤ教のせめぎあい。ユダヤ教を「人々に理不尽な服従と家畜化をしいる悪しき旧教」と見たい心理が、キリスト教を信じる人たちの中に無意識に働いている。ある種の近親憎悪でもある。

◆ユダヤ人の形を取った「資本」「資本主義」、ひいては「近代化」にたいする反発。自分たちが信じてきた「カトリック的道徳」「騎士道」「貴族主義」「田園主義」などの価値観が、資本主義に呑み込まれていくことへの恐怖。

 →ユダヤ陰謀論を信じユダヤ人を非難する人たちに共通する性向として、中世的な「人の道」を重視し説きたがる傾向が強い。そこではユダヤ人は、「道徳」の破壊者、「堕落」を導く者として現れている。

世界三大陰謀論+1(2) フリーメーソン


ユダヤ陰謀論と並び、口にする人が多い有名な陰謀論。フリーメーソンという結社が、裏から世界を操っている、とされる。ただし現代の陰謀論では、単独で語られることは少なくなり、他の陰謀論と結びついて構成要素の一部になることが多い。

フリーメーソンの事実


◆フリーメーソンは実在する。16世紀ごろにイギリスで生まれた歴史ある結社で、団員同士が親交を結ぶことを重視する友愛結社であり互助団体。もとは石工を中心とした職人ギルドだったという。

◆フリーメーソンは、特定の宗教に偏らないことを結社の方針としており、そのためカトリックとひそかな対立関係にあった。1738年には教皇から破門宣言が出ている。

◆フランス革命の関係者にフリーメーソン会員が多数いた。また、アメリカ独立戦争にも多数のフリーメーソン会員が関わった。そのため、騒ぎを起こす結社と見られていた時期がある。

◆フリーメーソン会員には大物といえる人物がたくさんいる。アメリカに限っても、日本に初めて来た提督マシュー・ペリー、作家マーク・トウェイン、フォード社の創立者ヘンリー・フォード、GHQ司令官ダグラス・マッカーサー、KFC創業者カーネル・サンダース、ワーナー社の創設者ジャック・ワーナー、など。合衆国大統領は初代ジョージ・ワシントンをはじめ、15名が会員だったとされている。

◆フリーメーソンに独特の儀式や、会員かどうかを見分けるための握手法や仕草のルールがあることは事実。

フリーメーソンの陰謀論


◆フリーメーソンはつねに世界を裏から支配しコントロールしてきた。

◆その証拠としてよく語られるのが、アメリカ1ドル札。ここにメーソンの暗号が隠されているというのは、陰謀論でもっとも有名なネタ。



(現実には、ピラミッドに目のマークはフリーメーソンで広く使われるマークではない。フリーメーソンのマークはこちら。)


◆フリーメーソンが自分らの儀式を公にしないのは、それがアンチキリストの儀式だからであり、彼らはひそかに悪魔を崇拝している。

フリーメーソン陰謀論の微妙さ


◆フリーメーソン陰謀論が有名であり、有名でありながら現在はやや脇役になっている理由はいくつかある。

◆フリーメーソンが秘密にしていることはあまり多くはなく、結社の場所などは公開されているし会員であることを明らかにしている人間も多い。また、実は会員もひろく募集している。

フリーメイソンが「開かれた秘密結社」を目指す理由 公式サイトも!

◆フリーメーソンという結社がかなりの規模と歴史を持ち、フランス革命などに影響をそれなりに与えてきたのは事実。そしてそのことを、一部の会員は堂々と語って誇りにしてきた部分もある。

◆フリーメーソンが不正・汚職の温床になっていた例も、事実としてある。(イタリアP2事件)

◆フリーメーソン陰謀論は、ある程度公の事実に基づいている部分があり、しかもフリーメーソン自身が広報してそれを広めてしまったという傾向もいくらかある。陰謀論のなかでも、事実と捏造のグレー部分が非常に大きく、そのグレー部分がかなり露出している。それだけに、「隠された秘密」を求める陰謀論者からすれば物足りない。

◆フリーメーソン白眼視の中核は、「反キリスト教的」、つまりキリスト教を特別視しないという部分にあった。が、現代ではそれを非道なことと考える人間はごくわずか。

◆結果として、フリーメーソンは「秘密結社」という部分では元祖であり本流であるが、現代においてはやや埋没した陰謀論カテゴリーになった。

世界三大陰謀論+1(3)イルミナティ




イルミナティとは、かつて実在した結社の名前。ラテン語で「照らされた者」の意味。日本では啓明結社ともいわれる。
1776年、ドイツのバイエルンで、アダム・ヴァイスハオプトによって設立された。いわゆる「啓蒙主義」をかかげた結社で、因習からの解放と普遍的な人類愛、理性による人類の発展を目標として掲げ、保守的なカトリック教団のイエズス会と対立した。会員は初期は五名ほど、のちに千人程度に達したといわれる。
1785年にはローマ教皇から異端とされ、わずか10年たらずで解散に追い込まれた。

イルミナティの事実


◆ユダヤ人、フリーメーソンと違い、現存していない。

◆イルミナティが歴史上に残した功績も傷跡もほとんどない。あくまでドイツの、バイエルン地方のローカル的存在。

イルミナティの陰謀論


◆解散したことになってはいるが、実はイルミナティは地下に潜り、いまや強大な結社として世界を裏から支配しようとしている。

◆別の名前を名乗っているが、実質はイルミナティの団体や会議がたくさんある。

  例)フェビアン協会……バーナード・ショーなどが所属した社会改良のための有志者団体。
    ビルダーバーグ会議……欧米の政治家や大物財界人が年に一度集まる非公開の会議。
              「影のサミット」といわれる。主催はロックフェラー財閥。
    三極委員会……ビルダーバーグ会議に出られない日本のために用意された会議。
              いまは中国インドなど多くの国々が参加。
    国際連合……世界最大の国際調停機関。

イルミナティ陰謀論の特徴


◆三大陰謀論の中で、もっとも元になる事実がなく、根拠が薄弱なのがイルミナティ陰謀論。

◆そもそもイルミナティの名が広く知られたのは、1975年の小説「イルミナティ」の小ヒットによって。小説によって流布した。
  →さらに、イルミナティを有名にしたのは1982年のカードゲーム。フィクション側で娯楽のために取り上げられた結社が、シリアスな陰謀論になってゆく。



◆現存する実態がないぶん、各論者のイメージによってどんなふうにでも語れる。それがイルミナティの人気の秘密。

◆逆にいえば単独で語るには元ネタがなさすぎるので、ほとんどの場合、後述の「新世界秩序」陰謀論の中に組み込まれる形になっている。

世界三大陰謀論+1(4) 新世界秩序(NWO)陰謀論


世界を裏で牛耳る「委員会」がある、という陰謀論。
この「委員会」は、いまの世界秩序を破壊し新しい秩序を作ろうとしている、ということになっているので、「新世界秩序(ニューワールドオーダー)陰謀論」と言われる。
その元ネタは、H・G・ウェルズが1939年に書いた「新世界秩序」という思想書。ジョージ・オーウェルの「1984年」も大きな影響を与えている。
ユダヤ、フリーメーソン、イルミナティの三大陰謀論を全て取り込み、壮大なスケールにまとめあげた、もっとも現代的なタイプの陰謀論。いわば三大陰謀論の後継者。
1980年頃から登場し、陰謀論の世界に新しい時代をもたらしたと言っていい。

「新世界秩序」の事実


◆ビルダーバーグ会議や各種サミットをはじめ、世界に多くの大物主催の会議や団体があることは当たり前だが事実。

「新世界秩序」の陰謀論


◆委員会は、いまの世界秩序をいったん壊し、戦争と災厄を引き起こしたうえで、大衆を家畜化し、自分たちに都合のいい新世界秩序を作ろうと企んでいる。

◆世界で起きる重大な出来事の裏には必ず委員会による操作があり、それらは一貫した意図をもって起こされている。

◆委員会は、普通には知られていない超高度な科学技術を持ち、それを完全に大衆から隠している。(例:地震兵器)

陰謀論の最前線……新世界秩序


◆世界を操る集まりがある、ということでは、三大陰謀論となんのかわりもない。正統後継者、というよりほとんど同じと言っていい。

◆違うのは、「すでに世界はほぼ彼らに支配されている」というところまで踏み込んでいること。見えない権力、というのを極端に大きく見るのが特徴。

◆もうひとつの違いは、彼らの目的が「現代の秩序の破壊、世界の作り直しと完全支配にある」と、はっきり語ること。

◆そして、常識外れなほどの科学技術を彼らは自由に使える、という設定を持ち、それを、世界の様々な出来事にあてはめようとすること。

◆超常的な技術を使える、ということで、委員会の裏に「宇宙人」の存在がある、と語る論者さえいる。代表的なのが爬虫類人レプティリアン。



◆フリーメーソンやユダヤの陰謀論と比べても、さまざまなことを陰謀論のターゲットにできる、汎用性の高い最新タイプの総合陰謀論といえる。

◆リチャード・コシミズ、ベンジャミン・フルフォードなど、現在日本で有名な陰謀論者は、ほとんどがこの新世界秩序論者である。

◆なお、「委員会」の名前や人数については、論者によって実にいろいろなバリエーションがある。
  代表例)三百人委員会、三十三人委員会、悪魔の十三血統

◆エヴァンゲリオンに出てくる最高意志決定機関「ゼーレ」は、この新世界秩序の「委員会」のイメージをそのまま映像化したものといえる。
  →「インパクト」を起こし世界を再生させる、というゼーレの「人類補完計画」は、ほぼ「新世界秩序」そのもの。


三大陰謀論+1は何を拒否してきたか


陰謀論は「いま世界は間違っている」という前提のもとに生まれる。
では、ユダヤ陰謀論、フリーメーソン陰謀論、イルミナティ陰謀論、新世界秩序陰謀論は、それぞれ何を「間違っている」としたのか。

ユダヤ陰謀論においては、「資本主義」「市民主義」、すなわち産業的な近代化にたいする拒否。
フリーメーソン陰謀論とイルミナティ陰謀論においては、「啓蒙主義」、すなわち様々な宗教をひろく平等に扱い、弱い者を救い教え、理性的な人々がいる世界をめざす、という精神における近代化への反発。
そして三ついずれにも、キリスト教を至上と見なさないことへの非難があった。

すなわち、三大陰謀論のもっている本質は「アンチモダン」であり、中世的な世界観へと留まろうとする強い気持ちが、陰謀論を生んできたといえる。時代に取り残されてゆく者たちの怨みの言葉であった。

それに対し、新世界秩序陰謀論では、「管理社会」を拒否するという意味合いが強まっている。この特徴の背景にあるのは、近年世界的に高まってきている保守とリベラルの対立である。

陰謀論大国アメリカと、新世界秩序


新世界秩序陰謀論の生まれた地であり、いま世界でもっとも陰謀論が盛んだと思われるのは、アメリカである。
なぜ、日本や欧州と比べても、アメリカでは多種多様な陰謀論が展開されるのか?

その理由として、「保守」と呼ばれる一部のアメリカ人のメンタリティが、日本人などとはまるで違うことが挙げられる。
彼らは、「社会全体でうまくやっていこう」という考え方をそもそもしない。全てが徹底的に個人の自由と責任にゆだねられる。
だから社会保険もいらず、海外人道支援を必要と思わず、ボランティアを拒否し、身を守る銃を手放すことを絶対に承知しない。
彼らが、連帯の唯一のルートとして求めるのが、厳格なキリスト教信仰である。
神によってのみ彼らはつながり、それ以外の押しつけられた連帯を拒否する。
そんな彼らにとって、「連邦政府」「国連」「共産主義」「社会主義」「多神教」、全てがおぞましい敵対対象。
なかでも、世界を共通化し流通をさかんにしようとする「グローバリゼーション」は、不倶戴天の敵。
そのメンタリティから、強烈な陰謀論が生まれる。

逆にアメリカのリベラルもまた、差別反対の名のもと過激化しつつある。
マイノリティや性的弱者の権利を拡大するために、マジョリティ(白人、男性)を積極的に排除しようという傾向が強まっている。
本来アメリカンリベラルとは、理想にそって社会全体を改革しようという思想であり、その理想にそぐわない人間を敵とみなすのは自然な流れであった。

「新世界秩序」によって人類が家畜化される、というイメージは、保守アメリカ人が抱くリベラル社会のイメージそのものである。だからこそ、荒唐無稽に見えても彼らにとっては説得力を持つ。

開拓時代に戻りたい保守系のメンタリティと、それとは真逆なリベラルの考え方が真っ正面からぶつかりあい、カオスになっているのがいまのアメリカの状況であり、日々新しい陰謀論が生まれている。
なかでも最近、トランプ元大統領が絡んだことで世界的に有名になったのが「Qアノン」であった。



今日のまとめ


◆陰謀論を否定するためには、陰謀論をまず知る必要がある。
◆陰謀論は、「世界が間違っている」という認識をもとに生まれる。
◆そのさらに奥には、時代が変わっていくことへの強烈な拒否感がある。


※参考文献 「世界の陰謀論を読み解く」辻隆太朗 講談社現代新書



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