インターネットの基本用語


■インターネット


本来は、「ネットワークがさらにネット化された大きなネットワーク」の意味だが、現在は固有名詞的に使われることがほどんど。
世界中のコンピュータ(携帯電話やゲーム機も含む)が、ある基本的なルール(インターネット・プロトコル)のもとでケーブルや無線でつながっている、そのネットワーク全体のことを言う。

■インターネット・プロトコル(IP)


接続されたコンピュータ同士が情報をやりとりする(通信する)ための基本的な約束事。
この約束事を守ってつながっているコンピュータのネットワークのことをインターネットという。

送りたいデータを包み(パケット)にして、玄関(モデム)から送り出す。このとき、包みには宛先(IPアドレス)を必ず書いておく。
発送された包みは、ネットワーク上のなるべく最適なルート(ルーターという装置がこれを考えてくれる)を通って相手に届く。
こういった流れを定めているルールをインターネット・プロトコルと呼ぶ。

少しまぎらわしいが、IPを中核とした、インターネットで通信するためのいろいろな約束事の総体を、インターネット・プロトコル・スイートという。
ここにはIPの他、HTTP、FTP、TCPなどが含まれる。

■TCP


IPと並ぶ、インターネット・プロトコル・スイートの中核プロトコル。データをちゃんと届け先に届けるための約束事。
回線が混雑していたり不安定だったりしたときにデータを守ったり、きちんとした形で届いたかどうかをチェックしたりするのが役割。
ふつうインターネットは、IPとこのTCPのふたつを基礎として動いているので、まとめてTCP/IPと呼ぶこともある。

■IPアドレス


インターネット・プロトコル(IP)のなかで最重要のデータ。
各コンピュータ(や、そのコンピュータの出先になっている通信機器)ごとに割り当てられている番号。インターネット上の住所にあたる。
本当は2進法の010100……というような数列で、これを十進法に直して「208.80.152.2」というような形で書く。

コマンドプロンプトを使って自分のIPアドレスを調べる方法

■プロバイダ


コンピュータごとにIPアドレスがないとインターネットに接続できないが、世界中の、ネットワーク上にないコンピュータまで含めた全てのコンピュータに適当に番号を割り当てるのは非現実的。
そこでプロバイダと言われる業者が登場し、契約しているクライアントから要求があったら、そのたびにIPアドレスを割り当ててインターネットに接続させてあげるサービスをはじめた。
そのため、プロバイダを通した接続ではIPアドレスは接続するたびに変わる。(変わらないようにする固定IPサービスもある。)

IPアドレスは重要な個人情報だが、プロバイダによって可変にされている場合は利用プロバイダ名と大まかな所在都道府県ぐらいしかわからない。
しかしそれすら悪用される場合もあるので、プロキシサーバという、IPアドレスを偽装する仕組みを利用している人も多い。

■ドメイン名とDNS


数字を羅列したIPアドレスでは人間が覚えられないので、固定IPアドレスを持ちデータを公開するサーバ側のコンピュータは、「ドメイン名」という別の名前をIPアドレスの別名として割り当てることが多い。
そのドメイン名からIPアドレスを探す仕組みをDNS(ドメイン・ネーム・システム)と呼ぶ。
DNSのデータを管理する機器をDNSサーバと呼び、これが止まるとメールもネット閲覧もできなくなるので実は非常に重要。おもにプロバイダや重要ネットワークのサーバと一緒のところにある。家庭用のルーターの中に仮サーバが入っていることも多い。

■ワールドワイド・ウェブ(ウェブ、WWW)


インターネットを支える基幹システム、URL、HTTP、HTMLなどの考え方をまとめた概念。
1989年、欧州原子力機構(CERN)所属のティム・バーナーズ・リーという科学者がこの概念を提唱し、翌年には世界初のウェブブラウザとHTMLエディタを作った。
現在のインターネットは、このWWWの考え方をほぼそのまま用いて構築されているため、インターネットという言葉とウェブという言葉は同一の意味で使われることが多い。
が、厳密にいうと、インターネットはハードウェア的なネットワークを含む概念で、WWW(ウェブ)は、そのネットワークを構築しているソフトウェア的なシステムを指す概念である。

具体的には、コンピュータの役割を大ざっぱにクライアントとサーバに分け、両者をHTTPという約束事で通信させ、クライアントがURLというアドレスを辿ることで、HTMLというハイパーテキストで書かれた情報にアクセスし、ウェブブラウザというツールを使って情報を閲覧する一連の仕組みのことをいう。

■クライアントサーバモデル


インターネット上のコンピュータを大きく二つの役割に分ける考え方。
情報にアクセスし与えてもらうのがクライアント(お客さん)、情報を溜め込んで広く提供するのがサーバ(供給役)ということになる。
いまは、サーバの役割をする高性能大容量のコンピュータそのもののことも、サーバと呼んだりしている。

クライアントサーバモデル以外のネットワークモデルとしては、ピアトゥピア(P2P)モデルがある。
これはサーバの役割をするコンピュータを設定せず、全ての機器がフラットにクライアント/サーバ両方の役目をするというモデル。

■URL(URI)


ユニフォーム・リソース・ロケーター。インターネット上にあるデータの場所を特定するための文字列。
IPアドレスが「建物(機器)の住所」だとすれば、URLは「建物の中のアイテムの位置」を示す。

スキーム名 - ホスト(ドメイン)名 - パス名 という順番に書くことになっている。

例 https://ja.wikipedia.org/wiki/Uniform_Resource_Locator

 ・スキーム名 その情報を取ってくるためのプロトコルを指定する。代表的なのはhttpで、名前のあとに:をつける決まり。
  なお、そのあとの//には実は意味はない。
 
 ・ホスト名 IPアドレス、つまり建物の住所を指定する。前述の「ドメイン名」が入ることがほとんど。
 
 ・パス名 建物の中のどの部屋のどこに取得するべき情報があるかを細かく示す。/で区切ることでいくらでも細かく指定できる。

URLの考え方を拡張してURIという用語が使われることもある。

■HTTP


ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル。インターネット・プロトコル・スイートのひとつ。
HTMLやXMLで書かれたデータを送受信するための約束事。
URLを用いて、TCPで通信する。現在のインターネットのほとんどのデータはHTTPでやりとりされている。

HTTPの約束事は非常にシンプルで、クライアント(URLを打ち込んだ側)がサーバ(URLを持っている側)にリクエストをし、サーバがそれに応えるというだけ。
そのクライアントの行動の履歴を、サーバ側はいっさい覚えない。機械的にリクエストに応えるだけである。。
このシンプルさを補完するために、クライアントの状態をウェブブラウザが記憶しておく仕組み「HTTP cokkie」が生まれた。

■HTML


ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ。ネット上でデータをやりとりするために開発されたプログラム言語。
インターネット・プロトコルと並ぶ、インターネットの基幹技術といえる。
http://がつくURLで見られる情報は、このHTML(もしくはXML)で書かれている。

その最大の特徴はハイパーリンク、一般にはリンクと呼ばれている機能。場所を指定してデータ間を自由に移動できる。

インターネットエクスプローラーでHTMLを表示する方法

HTMLの登場は1990年ごろ。
プログラム言語であるので、何度もバージョンアップされており、現在最新は5.1。しかし互換性の問題があり、最新の機能を使えばいいというものではないらしい。

なお、HTMLの兄弟的な存在としてXMLがあり、両方使われている。

■ウェブブラウザ


WWW上にある情報を閲覧するためのアプリケーション。さまざまな規格や言語に対応し、さまざまなデータをきちんと表示するのが役目。
クライアントの情報の一部を保存しておくCockieも重要な機能のひとつ。

現在、HTMLは複雑化しており、HTMLを補完する言語としてCSSやJavaScriptなどがある。またつねにセキュリティの問題がある。
それらにきちんと対応していかなくてはならないので、ブラウザに求められるものは大きい。

■CSS


カスケード・スタイルシート。ページを綺麗に仕上げる機能をあまり持っていないHTMLを補完するための言語。CSSファイルをHTML内で呼び出す形で使う。
商用のサイトではほぼ必ず使われているといっていい。

おしゃれなサイト例

■CGIとFlash


WWWでもっとも実用的な通信手段はHTTPだが、HTTPは前述のようにクライアントがURLにアクセスし、サーバはあらかじめ用意しておいたHTMLデータを送って終わりにするシンプルな仕組み。
クライアントからの複雑な入力をサーバがリアルタイムに反映することは、HTTPとHTMLでは基本的にできない。
そこでHTTPのルールに従いつつ、クライアントの入力にレスポンスを返す仕組みができないかと考えられた仕組みがCGI(コモン・ゲートウェイ・インタフェース)。

サーバ側はやはり、リクエストを受けてデータを返すだけなのだが、その直前に、外部のコマンドファイルを呼び出す仕組みがCGIである。 その外部のプログラムにいろいろな処理をさせ、その回答をサーバが受け取ってクライアントに返す。つまり、その時々で、クライアントのリクエストに対して違うデータを返すことができる。
CGIのポピュラーな利用法は掲示板や買い物処理など。
CGIを使うことを得意とするプログラム言語もたくさんある。古くはPerl、現在はPHPやPythonなど。

CGIはやや速度的に難があり、大がかりなグラフィック処理には向いていない。
そこで、FlashやJavascriptといったツールが登場した。が、これらはいずれも、クライアントのPC上で動作する。
サーバのデータをいじるわけではなく、あくまでデータを受け取ってからクライアント側がそれを加工する形式。
したがって、クライアント側にFlashやJavascriptが用意されていないと動かない。
また当然ながら、それらで加工されたデータはサーバには残らない。他のクライアントとデータを共有することはできない。

これまでウェブ上で動いていたゲームなどは、CGIとFlashなど複数のツールを併用していることが多く、かなり複雑なしくみをしていた。
が、新バージョンのHTMLであるHTML5がほぼ完全にFlashに取って代われるようになったため、Flashは次第に時代遅れのツールとなりつつある。

■パソコン通信


1980年代後半から1990年代中ごろまで、インターネットが急激に普及する直前の数年間のあいだ盛んだった通信手段。
世界中のコンピュータがつながるのではなく、サーバ1台に多くのクライアントがぶらさがる閉じたネットワーク。

現在のように一本のケーブルに膨大なデータを入れて流すことなどできず、多くの利用者は電話回線をまるごと使って、サーバに直接電話をかける形(ダイヤルアップ接続)で通信を行っていた。
HTTPもなくHTMLもないので、送受信できるのも基本はテキストデータのみ。画像の転送には相当時間がかかった。
モデムがつながらないような状況では、データを音に変えて回線に流す、音響カプラという機器も使われていた。

普通の電話回線を使うので課金は時間制ということになり、いかに接続している時間を短くするかに参加者は工夫をこらした。自動巡回ソフトでデータをすばやく落としてオフラインで読むのが一般的だった。

ニフティサーブ、PC-VANなど、商用のBBS(掲示板)がいくつかあり、それ以外にも個人が自分のコンピュータをサーバにして立ち上げた「草の根BBS」と呼ばれる掲示板がかなりの数存在した。


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